2018年5月28日付け毎日新聞夕刊のコラム「憂楽帳」でカフェ潮の路で働く若者が紹介されました。
https://mainichi.jp/articles/20180528/dde/041/070/034000c
憂楽帳 自分らしく働く
毎日新聞 2018年5月28日 東京夕刊
東京・練馬の「カフェ潮の路」で、24歳の細身の青年はコーヒーをいれている。店員の名は山崎さん。お年寄りの話に相づちを打ち、時に大声で笑う。彼は、公園やインターネットカフェで寝泊まりする生活から抜け出した。
不安定な非正規の働き手、そのものだった。高校を出て人材派遣に登録し、倉庫会社で配送を担当。夜勤が多いのに収入は月10万円を超すくらい。心も体もバランスを崩し、会社の寮を出てネットカフェで暮らした。
所持金が底を突き「生きていけない」と思った時、路上生活者らの住まいの支援をする団体「つくろい東京ファンド」に救われた。代表理事の稲葉剛さん(48)とは知人を介してつながり、団体が運営するカフェで働く。
いつも手元にノートを置く。客の気になる言葉を書き留め、自宅で意味を調べたり、考えたり…。次の機会に会話を広げるためという。「自分らしく働けている?」。私の問いかけに、天井を見て少し笑みを浮かべた。今後カフェに言ったら、彼は何と返してくるだろう。【木村哲人】