4月28日、入管法改定案が衆議院法務委員会で可決されました。法案は連休明けにも衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しです。
今回の法案は、多くの市民の反対により廃案となった2年前の入管法改定案とほぼ同じ内容になっており、つくろい東京ファンドは反貧困ネットワークなど他の団体・個人とともに国会への提出に反対してきました。
4月19日には改めて、困窮者支援団体・平和・人権団体の連名で「入管法改定案の廃案を強く求める共同声明」を発出しました。
困窮者支援団体・平和・人権団体による「入管法改定案の廃案を強く求める共同声明」
改定案には、在留資格がない非正規滞在の外国人を入管施設に収容する代わりに、民間の「監理人」の監督下で生活をおくることを認める「監理措置」を導入するという内容が盛り込まれていますが、NPO法人なんみんフォーラムが外国人を支援している民間団体や法律家らを対象に実施した調査では、92%が監理措置を「評価できない」と回答。90%が仮に導入されても「監理人になれない・なりたくない」と回答しました。
なんみんフォーラム:監理措置に関する意見聴取結果(2023年版)
つくろい東京ファンドも「監理措置を評価できない」「監理人になりたくない」と回答しました。
以下は、なんみんフォーラムの意見聴取に際して、つくろい東京ファンドが提出した意見(一部抜粋)になります。ご参考にしてください。
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当団体では、仮放免者・難⺠申請者の住宅・⽣活の⽀援をおこなってきましたが、仮放免者は働いて労務の対価を受け取ることや国⺠健康保険や⽣活保護などの社会保障制度を利⽤することが認められていないため、極度の貧困状態に固定化されています。そのため、⺠間⽀援団体が住宅・⾷品の無償提供や家賃補助等をおこなわざるをえない状況にあります。
こうした⽇本の⼊管政策は国際社会からも問題視されており、2022年11⽉3⽇、国連の⾃由権規約委員会は、⽇本国内の⼈権状況について発表した総括所⾒の中で、仮放免者(Karihomensha)の不安定な⽣活状況に懸念を⽰し、⽇本政府が仮放免者に必要なサポートを⾏うことや、働いて収⼊を得られる機会をつくることを検討するよう勧告をしました。
本来ならば、⽇本政府はこうした国際機関からの勧告を踏まえ、包括的な難⺠保護法制の導⼊を検討すべきですが、今回の政府案も2021年法案と同じく、仮放免者・難⺠申請者の⼈権を保障するという観点が完全に⽋落しており、仮に監理措置が導⼊されたとしても、多くの外国⼈が貧困に追いやられている状況の改善につながらないと考えます。
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つくろい東京ファンドでは、現在、13世帯の難民・仮放免者にシェルター提供をおこなうとともに、数十世帯に家賃補助や食料支援をおこなっています。最近は入管や医療機関への同行も増えてきました。
私たちが支援している外国人の中には、2回目、3回目の難民認定申請をしている人もいらっしゃいます。
3回目以降の難民認定申請者を強制送還することを可能にする法改悪が強行されたなら、この人たちの命が危険にさらされることになります。
入管法改定の動きを自分の命に直接、関わる問題として怯えている人々がいる、ということをぜひ多くの方々に知ってほしいと思います。
私たちは外国人困窮者支援の現場から改定案の廃案を強く求めていきます。
外国人困窮者の現状と支援現場から見える日本の入管行政の問題点について、ライターのヒオカさんが当団体スタッフの大澤優真にロングインタビューをしてくれました。
わかりやすくまとめてくださっているので、ご参考にしてください。
ただ生きのびるために日本に逃れてくる外国人を知って欲しい【入管法改正・仮放免の現実】第一回
収入を絶たれ困窮するだけではない。働く尊厳を奪われる外国人の声【入管法改正・仮放免の現実】第二回
自分が断ったら、この人は死んでしまうかもしれない。公的制度の空白を埋める現場の限界【入管法改正・仮放免の現実】第三回
また、「Real Voice Now!」の動画チャンネルにも、大澤のインタビュー動画(約15分)がアップされました。こちらも合わせてご覧ください。
入管法改正案 連続インタビュー「ここだけは譲れない」vol.4 大澤 優真 さん(NPO法人北関東医療相談会、一般社団法人つくろい東京ファンド
4月15日から発売されている『ビッグイシュー日本版』453号にも、特集「わたしの隣人、人権はどこに」の中で、大澤のインタビュー記事「“医”食住にこと欠き『生きていけない』仮放免者へ、入管庁がしていること」が掲載されています。
4月15日『ビッグイシュー日本版』、表紙は「エディ・レッドメイン」、特集は「わたしの隣人、人権はどこに」 – BIG ISSUE ONLINE
「ビッグイシュー日本版」は路上販売が中心の雑誌ですが、機会があれば、ぜひ手に取ってご覧ください。
国会周辺では廃案を求めて、連日、移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)を中心とする団体・個人による #入管法改悪反対アクション が行われてきました。連休明けにもアクションは継続される予定です。
アクションの最新情報は、移住連のTwitterアカウントをご覧ください。
移住連や全国難民弁護団連絡会議などの諸団体で呼びかけている「難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする、 入管法改悪に反対します!」との署名も継続中です。
「難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする、 入管法改悪に反対します!」
Twitter上でも「#入管法改悪反対」、「#難民の送還ではなく保護を」といったハッシュタグを用いたキャンペーンが行われています。
ぜひ廃案を求める動きにご協力をお願いいたします。
5月20日(土)には、第3回目となる「難民・移民フェス」が練馬区平成つつじ公園で開催されます。つくろい東京ファンドも参加する予定ですので、ぜひこちらもお越しください。
【お知らせ】第3回難民・移民フェスを開催します!|難民・移民フェス(Refugee & Migrant Festival) #note