今から13年前の2013年1⽉、前⽉の衆院選で⼤勝して成⽴した第2次安倍政権のもとで、⽣活保護基準を⼤幅に引き下げるという決定が⾏われました。過去最⼤となった基準の引き下げは「保護費1割カット」という⾃⺠党の選挙公約に沿ったものであり、2013年からの3年間で保護費の⽣活費部分にあたる⽣活扶助の基準を平均6・5%、最⼤10%引き下げるというものでした。
この前例のない⼤幅引き下げに対して、2014年以降、全国29都道府県の⽣活保護利⽤者が減額の取り消しなどを求める⾏政訴訟を提起。「いのちのとりで裁判」と呼ばれる裁判を闘っています。

5月27日には、先行する大阪訴訟と愛知訴訟について最高裁での口頭弁論が開かれました。また同日には参議院議員会館で集会も開催され、会場・オンライン合わせて400人以上が参加しました。
口頭弁論で国側の代理人は、生活保護基準の改定に際して厚生労働大臣には「極めて広範な裁量権」が認められており、専門家部会の意見を踏まえなければならないとの法的な規定もないと主張。「現実の生活条件を無視して著しく低い保護基準を設定する等、憲法および生活保護法の趣旨目的に反することが明らかでない限り違法ではない」と述べました。
これに対して、原告代理人は裁判の過程で国の主張が変遷している点に矛盾があると指摘しました。


報告集会では、つくろい東京ファンドの稲葉剛もスピーチをおこない、「いのちのとりで裁判で問われているのは、生活保護が権利なのか恩恵なのかということ。国は『恩恵』なのだからこの程度の引き下げで我慢しろと言いたいのかもしれないが、私たちは黙らないということを確認していきたい」と発言しました。
口頭弁論と集会の様子は、各メディアで報じられました。
最高裁の判決は6月27日に言い渡されることになりました。ぜひご注目をよろしくお願いします。
【5月21日】生活保護基準“引き下げ”の「違法性」問う裁判、まもなく最高裁弁論 「26勝15敗」原告に追い風も…“バッシング”懸念、弁護士ら共同声明
https://www.ben54.jp/news/2274
【5月23日】記者の目:生活保護費の大幅減額 不可解な経緯、調査・検証を=遠藤拓(オピニオン編集部) | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250523/ddm/012/070/081000c
【5月27日】生活保護費引き下げは違法か 最高裁で弁論 6月に統一判断へ | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250527/k00/00m/040/033000c
【5月28日】生活保護基準“引き下げ”は違法? 「物価偽装・政治介入」最高裁弁論で原告ら訴え…判決は6月末、“司法のメス”入るか
https://www.ben54.jp/news/2303
【5月30日】「クソだ」の言葉を飲み込み…「生活保護基準引き下げ」の“取り消し”を求める集団訴訟、提訴から12年目の今夏、最高裁判決へ
https://www.ben54.jp/news/2312
【6月2日】受給者「物価下落率を過大算出」 国は反論、司法判断分かれる―生活保護訴訟:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025060100218&g=soc
【6月2日】生活保護減額、3千億円規模か 13~18年、時事通信試算―違法訴訟、27日最高裁判決:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025060100217&g=soc
【6月2日】「法律はかざりか」――権利への政治介入、コピペ判決、生活保護引き下げ巡り問われる国と司法のあり方 | Dialogue for People
https://d4p.world/31837/
