つくろい東京ファンド(事務所:中野区)と「ヘイトスピーチをゆるさない中野」は、中野区長選及び区議補選(5月31日告示・6月7日投開票)において、ヘイトスピーチが行われないよう中野区選挙管理委員会に対策を求める申入れを4月8日に行いました。
区長選・区議補選がどのような構図の選挙戦になるのかは、現時点ではわかりませんが、近年、各地の選挙において候補者や関係者のヘイトスピーチが散見されるため、中野区の地元団体として事前に申し入れたものです。

要望項目は以下の3点です。

要望1:中野区ウェブサイト、中野区SNS、区内各所の掲示板などを用いて、ヘイトスピーチは許されないものであることを周知徹底してほしい。

要望2:各選挙の立候補者にヘイトスピーチは許されないものであることを周知徹底してほしい。

要望3:インターネット上で虚偽や真偽不明の情報が拡散されているのを認知したときは、中野区の関係部局、法務省などと連携して調査、協議の上、著しく虚偽である場合や根拠が不明である場合は、その結果を公表し、警告するなど公正な選挙活動がなされるよう指導してほしい。

対応してくれた選管の事務局からは以下の回答がありました。

要望1については、選挙管理委員会の立場からは対応には難しさがあること。対応については区役所内に共有し、検討すると回答がありました。

要望2については、すでに東京都選挙管理委員会は立候補者向けに、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」、ヘイトスピーチや選挙妨害は許されないことを示した書類、品位を損なうポスター掲示に関する注意喚起を促す書類を配布していること。それら書類を今回の中野区長選挙・中野区議会議員補欠選挙でも立候補者に配布すると回答がありました。

要望3については、ヘイトスピーチが起きた場合の対応については、現状では、選挙管理委員会として法的に対応することが難しいと回答がありました。

要請書の本文は下記の通りです。中野区以外の自治体でも、ぜひ同様の申し入れをしていただければと考えています。よろしくお願いします。

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中野区選挙管理委員会委員長 鈴木めゆ 様

2026年6月 中野区長選挙・中野区議会議員補欠選挙における

ヘイトスピーチを許さない取組みについての要請書

一般社団法人つくろい東京ファンド 

ヘイトスピーチをゆるさない中野

貴職におかれましては、日頃より中野区における公正な選挙の実施にご尽力いただいておりますことに、深く敬意を表します。

私たちは、中野区に拠点を置く、外国人や生活に困難を抱える人々を含むすべての人の尊厳が尊重される社会の実現をめざして活動する市民団体です。

この度、中野区長選挙・中野区議会議員補欠選挙において差別や排外主義を助長する言動を防止し、すべての区民の尊厳が守られる環境を確保することを目的として本要請書を提出いたします。

昨今、選挙運動という名目で外国人への差別と憎悪を助長するヘイトスピーチが繰り返されることが問題視されています。法務省によると、ヘイトスピーチとは「特定の国の出身者であること又はその子孫であることのみを理由に、日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの一方的な内容の言動」であり、「○○人は出て行け」など特定の民族や国籍の人々を、合理的な理由なく、一律に排除・排斥することをあおり立てたり、差別的な意味合いで昆虫や動物に例えるなどして、特定の国や地域の出身である人を著しく見下すような内容のものなどがそれに当たります(資料1)。

こうした状況に関して、2016年5月、政府は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(以下、ヘイトスピーチ解消法)」を制定し、「地方公共団体は、地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める(第4条2項)」と規定しました。2019年3月には、法務省人権擁護局が「選挙運動、政治活動等として行われる不当な差別的言動の対応について」とする事務連絡を発出し、「近時、選挙運動、政治活動等に藉口して不当な差別的言動等が行われる場合があるとの指摘がされています。…選挙運動等に藉口した不当な差別的言動その他の言動により人権を侵犯されたとする被害申告等があった場合には、その言動が選挙運動等として行われていることのみをもって安易に人権侵犯性を否定することなく…人権侵犯性の有無を総合的かつ適切に判断の上、対応される」よう求めています(資料2)。

また、2025年12月、国連人種差別撤廃委員会(日本は1995年に「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」に加入)と移住労働者権利委員会が採択した「外国人排斥根絶のためのガイドライン」において、「締約国は、選挙プロセスの時前、最中、及び時後の外国人排斥的及び関連する言動を防止するための具体的な措置を実施すべきである。外国人排斥及び人種主義の防止に責任を有する当局、選挙を管理する責務を負う機関、及び国内並びに地方人権機関は、このようなイニシアティブにおいて極めて重要かつ監視する役割を果たすべき」こと。「締約国が、政党、当局及び候補者に向けて、次のような措置をとることを勧告する。…選挙運動において、外国人排斥的な言説を明確に非難すること、政治家及びメディアの専門家を含む公的な著名人による外国人排斥的及び人種主義的なヘイトスピーチ及び差別的言動と断固として闘うこと」などを求めています(資料3)。

さらに、中野区では「中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例」において、「全ての人が差別をすることや差別をされることのない環境、そして差別をされている状況を見過ごすことのない環境を整備することが必要(前文)」、「全ての人が、性別、性自認、性的指向、国籍、人種、民族、文化、年齢、世代、障害その他これらの複合的な要因による差別を受けることなく、それぞれの能力を発揮し、地域社会の一員として暮らすことができることを基本理念とする(第2条)」と規定しています。

以上のことから、私たちは、選挙の執行にあたり、以下のことを要請いたします。

(1)ヘイトスピーチ解消法、法務省人権擁護局通知、国連「外国人排斥根絶のためのガイドライン」、中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例の趣旨を踏まえて、中野区ウェブサイト、中野区SNS、区内各所の掲示板などを用いて、ヘイトスピーチは許されないものであることを周知徹底してください。

(2)ヘイトスピーチ解消法、法務省人権擁護局通知、国連「外国人排斥根絶のためのガイドライン」、中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例および関連資料を各立候補者に配布周知し、選挙運動におけるヘイトスピーチは許されないものであることを周知徹底してください。

(3)インターネット上で虚偽や真偽不明の情報が拡散されているのを認知したときは、中野区の関係部局、法務省などと連携して調査、協議の上、著しく虚偽である場合や根拠が不明である場合は、その結果を公表し、警告するなど公正な選挙活動がなされるよう指導してください。

以上

資料1:法務省「ヘイトスピーチ、許さない。」

https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00108.html

資料2:平成31年3月12日 法務省人権擁護局調査救済課補佐官 事務連絡「選挙運動,政治活動等として行われる不当な差別的言動への対応について」

https://www.moj.go.jp/content/001350817.pdf

資料3:(資料3-1)2026年1月23日 国際人権NGO 反差別国際運動「差別を許さない! 衆議院選挙に向けた IMADR 声明」 

https://imadr.net/statement23jan2025/

(資料3-2)2026年1月15日 国際人権NGO 反差別国際運動「人種差別撤廃委員会・移住労働者権利委員会 高まる外国人排斥を根絶するための措置を世界に促す」

https://imadr.net/cerdgr3839/

(資料3-3)2026年2月4日 国際人権NGO 反差別国際運動「外国人排斥根絶のためのガイドライン」https://x.com/IMADR_JC/status/2018886877076709479?s=20

(資料3-4)2025年12月1日 国連人種差別の撤廃に関する委員会・すべての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する委員会「外国人排斥根絶のためのテーマ別ガイドライン 合同一般的勧告39/一般的意見8」

https://imadr.net/wordpress/wp-content/uploads/2026/01/64f7b97812a9e078c50d59830aba31b8.pdf