朝日新聞「窓」欄に、つくろい東京ファンドが支援した男性の経験談が掲載


2018年2月18日付け朝日新聞朝刊「窓」欄に、つくろい東京ファンドが支援した男性の経験に基づく記事が掲載されました。

どなたなのか、未だにわかっていないのですが、この男性に当団体のホームページをプリントアウトして渡してくださった方に感謝いたします。

大雪前夜 名前も知らない女性に

男性(65)は、公園のコンクリートの地面に座り込んだ。持ち物は着替えを入れたバッグ二つ。数日前に見知らぬカップルからもらった毛布を肩にかけ、目を閉じた。

1月21日、東京都杉並区。日が暮れ、だんだんと気温が下がっていく。「この先どうなるんだろう」。寒さと心細さで、眠れなかった。
日雇いの仕事をしていたが、年とともに見つけにくくなった。家賃を払えなくなり、ワンルームマンションを追い出されたのは5日前。次第に、思うように足が動かなくなった。

「雪が降る、と天気予報で言っていました」
突然、声が聞こえた。ジャンパーを着た小柄な女性が立っていた。30代か、40代。
女性は、真剣なまなざしで続けた。
「危ないから、病院に行きますか。それとも施設を紹介しましょうか」
男性はびっくりしながら、「施設でお願いします」と答えた。「ちょっと待ってて」。女性はそう言うと、いったん立ち去った。
10分後。3枚の紙を手にして戻ってきた。そこには、ホームレスの支援団体のホームページが印刷されていた。
「これ、タクシー代に」。女性は5千円を差し出し、まもなく姿を消した。

近くでタクシーを拾って、男性は施設に向かった。料金は1770円。途中で弁当も買った。丸一日、何も口にしていない。焼いたサケが、うまかった。
翌日、施設のスタッフが区役所の窓口に連れて行ってくれた。その日の夜、「一時的に」と案内されたネットカフェでシャワーを浴び、コーヒーを飲んだ。外は大雪。都心で20センチ以上積もった。
「下手したら、凍死していた……」

あの女性は、誰なのだろう。施設の人も思い当たらないという。いま宿泊所で暮らしながら、顔を思い出してみる。手渡された紙は、折りたたんでバッグにしまってある。(青木美希)

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