「貧困研究」23号に「ハウジングファーストの効果検証に関する研究」が掲載されました。

貧困研究会発行の「貧困研究」Vol.23に、「ハウジングファーストの効果検証に関する研究~日本におけるホームレス支援の新たな可能性」(後藤広史・稲葉剛・三村裕介・大澤優真)が掲載されました。

つくろい東京ファンドが運営する「つくろいハウス」(東京都中野区)の実績をもとに、日本におけるハウジングファースト型のホームレス支援の効果を初めて検証した論文になります。

ぜひご一読ください。

以下に、その内容の一部を紹介します。

※本文あるいは図表を引用される場合は、出典先(論文名)の明記をお願いします。

調査対象は、2014年8月1日から2018年7月6日までに、「つくろいハウス」を利用して退所した者のアセスメントシート及び面談票58人分です。

調査の結果、下記のことがわかりました。

(1) 利用者の属性・利用期間

・平均年齢は48.4歳
・「40~49歳」(32.8%)の割合が最も高く、次に「60~69歳」(20.7%)が続く。
・何らかの障害(知的・精神・依存症等)を有している人は9名(15.5%)
・「つくろいハウス」の滞在日数は、平均126日。「3ヶ月~6ヶ月未満」(50.0%)が最も高かった。

(2) 過去の公的支援の利用状況
・過去の公的支援の利用経験が「あり」30名(51.7%)
・利用歴については、「2回」、「3回以上」が合わせて80%にのぼる。

(3) 移行先と目的外移行率
・「アパート」が74.1%
・「路上」(1.7%)、「失踪」(6.9%)を合わせた目的外移行率は8.6%
・更生施設、自立支援センターの目的外移行率は、それぞれ24.2%、34.7%

(4) 住宅維持の期間
・「つくろいハウス」からの移行先が「アパート・実家」であった44名のうち、88.6%(39名)が移行後もその住宅を維持している。ただ、その中には調査時点において、住宅に移行したばかりの人も含まれる。
・安定した住宅を維持していた39名のうち、「1年以上」74.2%、「2年以上」41.0% 

論文では、調査結果より以下の2点を考察しています。

(1) 目的外移行率の低さとその要因
・「つくろいハウス」の目的外移行率が低い理由は、個室であることにより無用な人間関係のトラブルが避けられる点にあると推測される。

(2) 住宅維持率・期間の長さとその要因
・先行研究の結果と比較すると、「つくろいハウス」利用者は、安定した住宅の維持率が高く、かつ長い期間その住宅を維持できているといえる。その要因としては、ハウジングファーストに付随するソフト面の支援によるところが大きいと思われる。

論文の最後では、欧米でハウジングファーストが注目を集めている背景には、「従来の施設を中心とした支援よりも費用対効果が優れているということがある」と指摘した上で、「今回の結果は、わが国でもその可能性があることを示唆するものである」と述べています。

その上で、今後の課題として、今回着目した変数以外の変数についても効果検証の指標に取り入れて調査を行なう必要があること、ハウジングファーストのソフト面での支援が目的外移行率の低さ等にどのように影響しているかについてもインタビュー調査等によって明らかにしていく必要があるとまとめています。

この論文をきっかけに、日本でも研究、実践の両面でハウジングファーストへの注目がさらに集まることを期待しています。

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