「生活保護費を1日1000円に分割して支給し、基準額の半額程度しか渡さない」、「生活保護決定後も長期にわたり保護費を渡さない」、「利用者の印鑑を計1948本保管し、本人の同意なく押印していた」、「職員に恫喝されたり、暴言を吐かれた」等、数々の違法行為・人権侵害が発覚した群馬県桐生市。
今年2月に発足した「桐生市生活保護違法事件全国調査団」(団長:井上英夫 金沢大学名誉教授)は、3月4日、桐生市に公開質問状を提出。3月末に回答書を受け取りました。
桐生市の生活保護行政に関する公開質問状に対する回答(PDF)
「調査団」は桐生市の回答を分析した上で、4月4日~5日に現地での調査活動を展開。5日には桐生市長、群馬県知事、桐生市が設置した第三者委員会の座長あてに「要望書」を提出しました。
桐生市では、2011年度からの10年間で生活保護利用者数と保護率が半減。生活保護費は半分以下の45%まで減少しました。
特に「母子世帯」が2011年の26世帯から2022年にはわずか2世帯と急減したことが判明しています。
「要望書」では、桐生市の公文書をもとに減少の原因を分析しています。
分析を続ける中で、桐生市における生活保護の却下率・取り下げ率の高さや辞退廃止数の多さといった問題だけでなく、「警察官OB」の配置数が多く(最大時4名)、新規面談の同席や就労支援など趣旨を逸脱した活用がなされていること、他自治体では見られない民間の金銭管理団体を活用した事業をおこなっていること、女性職員の比率が極端に低く、女性のケースワーカーや婦人相談員が配置されていない、といった問題も見えてきました。
「要望書」では、これらの点について詳しく分析しています。長文ですが、ぜひご一読ください。
桐生市生活保護違法事件全国調査団・要望書(2024年4月5日)PDF
「調査団」が5日午後に桐生市市民文化会館で開催した「桐生市の生活保護行政をよくする市民集会・シンポジウムには約200人が集まりました。
一連の「調査団」活動は、各メディアで報じられました。
【4月5日】桐生市で生活保護費不適切支給 全国調査団が報告 違法性疑われる対応「検証を」|生活ニュースコモンズ
s-newscommons.com/article/1540
【4月5日】桐生市の生活保護問題 「福祉事務所へ行くぐらいなら死んだほうが…と思わせる福祉って」 全国調査団が会合:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319418
【4月5日】「税金で飯食ってる自覚あるのか」生活保護受給者に窓口で威圧 桐生 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240405/k00/00m/040/048000c
【4月5日】群馬・桐生の生活保護問題 調査団は県にもクギ 監査見直し約束 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240405/k00/00m/040/211000c
【4月5日】作家・雨宮処凛さん、桐生生活保護問題に「独自ルールすさまじい」 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240405/k00/00m/040/213000c
【4月6日】生活保護費の不適切支給「経緯、責任究明を」 専門家グループが要望書 群馬・桐生市 | 上毛新聞社のニュースサイト
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/444253
【4月6日】生活保護法改正から10年 「過度な水際作戦」懸念浮き彫り 桐生市の保護費不適切支給問題|生活ニュースコモンズ
s-newscommons.com/article/1566
つくろい東京ファンドからは小林美穂子と稲葉剛が「調査団」活動に参加しています。
4月9日(火)夜に配信するオンラインイベント「生活保護行政のアップデートを!」では、小林と稲葉が桐生市の問題についても解説します。
ぜひご覧ください。
『生活保護行政のアップデートを!~扶養照会・水際事例・桐生市問題を語る』
◆日時:2024年4月9日(火) 20:00-21:00
◆登壇者:小林美穂子・稲葉剛
*視聴方法
配信時間中に下記リンク先からご視聴が可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=jLwEfUZ2mXA
※本イベントはYouTube 上でのLive配信となります。本配信ではUDトークを使用した字幕提供をおこないます。
「調査団」の活動を通じて、桐生市の生活保護行政の問題がかなり明らかになってきましたが、まだまだ解明されていない点もあります。
私たちは引き続き、問題の徹底解明と抜本的な改善を求めていきます。ご注目いただけるとありがたいです。