おかげさまで、今年6月、一般社団法人つくろい東京ファンドは設立10周年を迎えることができました。
平素からの皆さまのご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。

つくろい東京ファンドは2014年、「市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう」と合言葉に、東京都内でホームレス支援活動を続けてきた複数の団体のメンバーによって設立されました。活動の軸としているのは、「住まいは基本的人権である」との理念に基づく、ハウジングファースト型の住宅支援事業(個室シェルター事業)です。

2014年の設立時に7室からスタートした個室シェルター事業は、10年経った現在、都内57室まで拡大しています。

2022年以降は、「りんじんハウス」プロジェクトと題して、個室シェルター事業に加え、公的な支援策から排除されている難民・仮放免者の「ホームレス化」を防ぐための家賃支援も進めています。
今年6月7日時点の家賃支援の実績は、計72世帯(26の国と民族 ※無国籍を含む)。家賃・水光熱費の支援総額は約864万円にのぼっています。
難民・仮放免者への支援活動については、先日、NHKの『ETV特集』でも取り上げられました。

「セーフティネットのほころびを修繕する」活動も11年目に突入します。
引き続き、国籍・在留資格で線引きをしない困窮者支援活動への応援、ご協力をお願いいたします。

つくろい東京ファンド 10年の歩み

簡単ですが、つくろい東京ファンドの設立以来10年の歩みとスタッフの動きをまとめましたので、ご覧いただけると幸いです。

2014年 
法人設立。東京都中野区に「つくろいハウス」開設(当初7室)

2015年
若者向けシェアハウス「ハナミズキの家」開設(3室。2023年まで)

2016年 
「ハナミズキの家」で「ことといこども食堂」オープン(2020年まで)
「ハウジングファースト東京プロジェクト」に加入
NPO法人TENOHASIとの協働シェルターを開設(開始時は豊島区に2室。現在は近隣地域を含め、計24室)

2017年 
ホームレス経験者の仕事づくり・居場所づくり事業として「カフェ潮の路」オープン。「お福わけ券」が話題に。

2018年 
NHK『クローズアップ現代+』「思いがけない退去通知 あなたも住宅を追われる!?」に稲葉剛が出演
LGBTハウジングファーストを考える会・東京との協働シェルター「LGBT支援ハウス」を開設(開始時1室。現在2室)
稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト―住まいからはじまる支援の可能性』(山吹書店)刊行

2019年 
「東京アンブレラ基金」プロジェクト開始
個室シェルターは全25室となる

2020年 
稲葉剛『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)刊行
コロナ禍での緊急支援始まる。新型コロナ災害緊急アクションに参加
個室シェルター倍増。ペットと泊まれる個室シェルター「ボブハウス」(当初2室。現在3室)開設
NHK『クローズアップ現代+』「まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス」に稲葉剛が出演
稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編『コロナ禍の東京を駆ける―緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(岩波書店)刊行
「つながる電話プロジェクト」開始
生活保護申請支援システム「フミダン」開設
「年越し大人食堂」に参加

2021年 
生活保護問題対策全国会議とともに扶養照会の運用改善を求めるキャンペーンを実施。運用の一部改善をかちとる。扶養照会を止める「申出書」と添付シートの公開を始める。
「せかいビバーク」開始。「GW大人食堂」「年越し大人食堂」に参加
仮放免者のシェルター入居が増え始める
NHK ETV『こころの時代』「あなたを知ってしまったから」で稲葉剛・小林美穂子の活動が取り上げられる
稲葉剛『貧困パンデミック』(明石書店)刊行
NHK ETV『ハートネットTV』「みんなの生活保護!(1)(2)」に小林美穂子らが出演。
日本居住福祉学会「居住福祉賞」受賞
中野社協フードパントリーに参加(中野区生活援護課とともに生活相談を担当)
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「スマホとホームレス」で佐々木大志郎の活動が取り上げられる

2022年 
「中野駅前なんでも街頭相談会」(毎月開催)に参加を始める
生活困窮者支援りぼん(町田)との協働シェルターを開設(1室)
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「東京デリバリー物語」で佐々木大志郎の活動が再び取り上げられる
難民・仮放免者の住まいを支える「りんじんハウス」プロジェクト開始。年末よりアフリカ各国から新規に入国した難民の相談が増え始める

2023年 
大澤優真『生活保護と外国人―「準用措置」「本国主義」の歴史とその限界』(明石書店)刊行
入管法改悪反対運動に参加
初の活動報告会「活動報告会2023〜ハウジングファーストの現在地」を開催。
ビッグイシュー基金、北関東医療相談会とともに「仮放免者住居調査」を実施・発表
小林美穂子『家なき人のとなりで見る社会』(岩波書店)刊行
「ほしぞら医療班」立ち上げ

2024年
つくろい東京ファンドYouTubeチャンネルで配信イベントの定期開催を始める
桐生市生活保護違法事件全国調査団に参加
NHK ETV『ETV特集』「あなたの隣人になりたい〜“難民”の人々と歩む」で大澤優真・武石晶子の活動が取り上げられる