今年の夏、一般社団法人つくろい東京ファンドは設立11周年を迎え、「セーフティネットのほころびを修繕する」活動も12年目に入りました。
つくろい東京ファンドは、2014年の設立以来、「住まいは基本的な人権であり、最優先に保障されるべきものである」という「ハウジングファースト」の理念に基づき、公的なセーフティネットの隙間からこぼれ落ちた生活困窮者への住宅支援に力を入れてきました。
2014年7月には東京・中野区内にあるビルのワンフロアを改装し、住まいのない生活困窮者のための個室シェルター「つくろいハウス」(7室)を開設。
2016年以降は、NPO法人TENOHASIなどと連携しながら豊島区、板橋区、練馬区などでアパートの空き室を活用した個室シェルター事業を拡充してきました。
2020年春には、コロナ禍の経済的な影響により仕事と住まいを失う人が急増するという事態を踏まえ、反貧困ネットワーク等の支援団体と連携して生活困窮者への駆けつけ型の支援を開始。個室シェルターも大幅に増設しました。
2025年9月時点で、都内53室の個室シェルターを運営し、多世代、多国籍の生活困窮者に一時的な住まいを提供しています。
個室シェルターの入居者・退所者には、安否確認、福祉・住宅等の相談及び食料支援もおこない、入居者・退所者が地域で安定した生活をおくれるためのお手伝いを続けています。
個室シェルター事業以外にも、さまざまな支援事業をおこなっています。
〇アウトリーチ活動と医療・福祉相談:月2回、中野区などで路上生活者支援の夜回り活動を実施。池袋の炊き出し・相談会(NPO法人TENOHASI主催)の場では、ボランティアの医師・看護師らで構成される「ほしぞら医療班」の医療相談を実施しています。また、毎月1回、中野駅北口広場で開催される「中野駅前なんでも街頭相談会」にもスタッフを派遣し、生活相談を担当しています。
〇外国人困窮者への支援活動:NPO法人北関東医療相談会、NPO法人難民支援協会などの外国人支援団体と連携して、生活に困窮し、住まいを失った外国人のシェルターへの受け入れや家賃支援、食糧支援、日本語教室など生活全般に関わる支援を進めています。
〇居場所づくり、仕事づくり:ホームレス経験者の居場所と仕事をつくる事業として、コミュニティカフェ「カフェ潮の路」及び古書店「潮路書房」を運営しています。
〇ソーシャルアクション:違法・不適切対応をする福祉事務所には対応改善のための申し入れをおこない、生活保護の扶養照会問題や難民保護などの制度改善に向けた国や自治体への働きかけにも力を入れています。
〇ITを活用した緊急支援活動:2020年春以降は、反貧困ネットワーク、NPO法人トイミッケなどの生活困窮者支援団体と連携して、コロナ禍や物価高騰の影響で仕事と住まいを失った方への緊急支援に取り組んできました。2020年には生活保護の申請を支援するウェブサイト「フミダン」も開設する等、ITを活用した支援に力を入れています。
つくろい東京ファンドの11年の歩みをまとめましたので、ご参考にしてください。
◆つくろい東京ファンド 11年の歩み
2014年
法人設立。東京都中野区に「つくろいハウス」開設(当初7室)
2015年
若者向けシェアハウス「ハナミズキの家」開設(3室。2023年まで)
2016年
「ハナミズキの家」で「ことといこども食堂」オープン(2020年まで)
「ハウジングファースト東京プロジェクト」に加入。NPO法人TENOHASIとの協働シェルターを開設(開始時は豊島区に2室。現在は近隣地域を含め、計24室)
2017年
ホームレス経験者の仕事づくり・居場所づくり事業として「カフェ潮の路」オープン。「お福わけ券」が話題に。
2018年
NHK『クローズアップ現代+』「思いがけない退去通知 あなたも住宅を追われる!?」に稲葉剛が出演。
LGBTハウジングファーストを考える会・東京との協働シェルター「LGBT支援ハウス」(1室)を開設。
稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト―住まいからはじまる支援の可能性』(山吹書店)刊行。
2019年
「東京アンブレラ基金」プロジェクト開始。
個室シェルターは全25室に。
2020年
稲葉剛『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)刊行。
コロナ禍での緊急支援始まる。新型コロナ災害緊急アクションに参加。
新宿区の宿泊支援打ち切りに抗議・申し入れ。区が謝罪。
個室シェルター倍増。ペットと泊まれる個室シェルター「ボブハウス」開設(当初2室。現在3室)。
NHK『クローズアップ現代+』「まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス」に稲葉剛が出演
稲葉剛・小林美穂子・和田靜香編『コロナ禍の東京を駆ける―緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(岩波書店)刊行。
「つながる電話プロジェクト」開始(2025年まで)。
足立区の保護打ち切りに抗議・申し入れ。区が謝罪。
生活保護申請支援システム「フミダン」開設
「年越し大人食堂」に参加。
2021年
生活保護問題対策全国会議とともに扶養照会の運用改善を求めるキャンペーンを実施。運用の一部改善をかちとる。扶養照会を止める「申出書」と添付シートの公開を始める。
横浜市神奈川区での水際作戦に抗議・申し入れ。市が謝罪。
緊急一泊支援プログラム「せかいビバーク」開始。
「GW大人食堂」「年越し大人食堂」に参加。
仮放免者のシェルター入居が増え始める。
NHK ETV『こころの時代』「あなたを知ってしまったから」で稲葉剛・小林美穂子の活動が取り上げられる。
稲葉剛『貧困パンデミック』(明石書店)刊行。
NHK ETV『ハートネットTV』「みんなの生活保護!(1)(2)」に小林美穂子らが出演。
日本居住福祉学会「居住福祉賞」受賞。社会デザイン学会「社会デザイン大賞」受賞。
中野社協フードパントリーに参加(中野区生活援護課とともに生活相談を担当)。
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「スマホとホームレス」で佐々木大志郎の活動が取り上げられる。
2022年
「中野駅前なんでも街頭相談会」(毎月開催)に参加を始める。
生活困窮者支援りぼん(町田)との協働シェルターを開設(1室)。
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「東京デリバリー物語」で佐々木大志郎の活動が再び取り上げられる。
難民・仮放免者の住まいを支える「りんじんハウス」プロジェクト開始。年末よりアフリカ各国から新規に入国した難民の相談が増え始める。
2023年
大澤優真『生活保護と外国人―「準用措置」「本国主義」の歴史とその限界』(明石書店)刊行。
入管法改悪反対運動に参加。
ビッグイシュー基金、北関東医療相談会とともに「仮放免者住居調査」を実施・発表。
小林美穂子『家なき人のとなりで見る社会』(岩波書店)刊行。
稲葉剛が第31回若月賞(農村保健振興基金)受賞。
「ほしぞら医療班」立ち上げ。
2024年
つくろい東京ファンドYouTubeチャンネルで配信イベントの定期開催を始める。
桐生市生活保護違法事件全国調査団に参加。
NHK ETV『ETV特集』「あなたの隣人になりたい〜“難民”の人々と歩む」で大澤優真・武石晶子の活動が取り上げられる。
難民支援協会、反貧困ネットワークとともに「難民ホームレス危機」の解消を求める緊急の申入れ。
緊急声明「500円(0.7%)ではスズメの涙だ ケチ臭いことはやめて、13%以上の大幅な生活扶助基準の引き上げを!」に賛同。
2025年
小林美穂子・小松田健一『桐生市事件-生活保護が歪められた街で』(地平社)刊行。
「生活保護に関する偏見や差別を助長しない報道と議論を求める共同声明」に賛同。
「参議院選挙にあたり排外主義の煽動に反対するNGO緊急共同声明」に賛同。
